神戸市

【神戸】淡いグリーンの「萌黄の館」はノスタルジックな異人館

「萌黄の館(小林家住宅・旧シャープ邸)」は、淡いグリーン色の気品ある洋館。

1903年(明治36年)に、神戸のアメリカ総領事ハンター・シャープ氏の邸宅として建築。1944年(昭和19年)には、元神戸電鉄社長の小林秀雄氏がこの館を取得し、1977年(昭和52年)まで実際に住んでいました。

萌黄色の外観が特徴的な「萌黄の館」の見どころをご紹介します。

昔は白色だった!淡いグリーン色の外観

萌黄の館は、木造2階建・下見板張りの異人館。1980年(昭和55年)には国の重要文化財にも指定されている歴史的建造物です。現在は淡いグリーンの萌黄色が特徴的な洋館ですが、以前は白塗りの建物で「白い異人館」と呼ばれていました。

しかし、1987年(昭和62年)に修復する際、建築当時は淡いグリーン色だったことが判明したため、外壁を萌黄色に復元。それ以来「萌黄の館」と呼ばれています。

入館料は大人350円。チケットは入り口から入ってすぐの場所にある券売機で購入できます。

ちなみに、2館共通券(萌黄の館・風見鶏の館)を購入すると、別々にチケットを購入するよりも200円お得です。券売機で2館共通券を購入すると、「2館券引換券」が出てくるので…

館内入口の受付で「2館共通券」に交換します。シティ・ループバス1日乗車券(提示で50円引き)や各種割引クーポンを利用する場合も館内入口の受付での購入となります。

【神戸】北野異人館のシンボル「風見鶏の館」で異国情緒を感じよう 「風見鶏の館(旧トーマス住宅)」は、北野異人館のシンボル的存在の館。 赤レンガの外壁と屋根の風見鶏が特徴的で、1909年(明治4...

重厚なマントルピースが特徴的な1階

館内へは入口で靴を脱いで、スリッパに履き替えて入ります(土足厳禁です)。

玄関ホールから入ると、目の前には奥行きのある空間。アラベスク模様で飾られた階段と腰掛がおしゃれ。

玄関ドアの上にあるステンドグラスは、小林家の家紋「橘の花」をあしらったもの。レトロな雰囲気がかわいいですね。

食堂に置かれていたのは円形のアンティークテーブル。左側にあるマントルピース(暖炉の飾り)は、部屋ごとに模様が違うので、要チェックです。

応接室には、重要文化財指定書と2017年に秋篠宮同妃両殿下がご来館されたときの写真が展示されていました。白いバラの壁紙はオリジナルを復元したものです。

応接室奥の書斎にも重厚なマントルピース。よく見ると確かに、真ん中の景色の絵がほかの部屋のものとは違っていますね。

書斎にはインスタ映えしそうな素敵なフォトスポットもありました。

2階は住人の日々の生活を再現

2階はおもに寝室や子供部屋として使われていました。

当時寝室として使用されていた場所は、その後居間としても使われていたため、現在は居間仕様で展示されています。テーブル上のチェスの盤から、住人の日々の生活を想像するのも楽しいですね。

化粧室には、アンティーク風の素敵なドレッサーと専用の豪華な暖炉。ゆとりのある一室が女性専用の化粧室に使われているのもレディファーストならでは?

子供部屋には、ウインドウチェアに付けられた収納用の引出といった工夫も見られました。かわいらしい装飾品もたくさん並んでいます。

浴室はコンパクトなユニットバス。当時バスタブのお湯は使用人が1階から運んでいたのでは?と言われています。

幾何学模様のガラス窓が美しい開放的なベランダ

萌黄の館の2階、南側にはベランダ(サンルーム)があります。

幾何学模様のガラス窓が美しく、日当たりのよい開放的なベランダです。陽光が差し込むと、とっても爽やか。

ここは神戸の市街地が眺められる絶好のビューポイントで、ウェディングフォトの撮影スポットとしても人気があります。

窓ガラスが破損した部分は現代のものを使っていますが、それ以外は昔の窓ガラスのままです。向こう側が歪んで見えるので、見比べてみて。

ハンモック用のフックも残されていました。港に入る船をここで見てから仕事に出かけたそう。私もこの場所でハンモックに揺られながら港を眺めてみたいものです。

ちょっと休憩にも!西側にある素敵なお庭

萌黄の館には西側に素敵なお庭もあります。庭から見える張り出し窓(左右で異なった形のベイ・ウインドウ)や、中央の屋根の赤レンガ化粧積の煙突も外観上の見どころ。

お庭のテーブルとチェアも萌黄色。ここでちょっとひと休みもいいですね。

庭の奥に突き刺さったまま展示されている煙突は、阪神淡路大震災で落下した西の煙突。地震の大きさを次世代に伝えるため、当時の状態のままで保存しています。

萌黄の館には、実は同じ敷地内に使用人の住まいもあります。写真は萌黄の館の入口から入ってすぐの場所。

左側が主人の住む館、右側が使用人の住居。それぞれの住まいが繋がっているように見えますが、実は中には壁があるため室内での行き来はできません。

また、西洋人の習わしにより使用人の住まいの床が主人の家の床よりも低い位置になっています。昔ながらの風習を知り、実物を身近に観察できるのも、異人館散策の楽しみのひとつですね。

ちなみに、使用人住居棟の右扉は物置の入口、奥の裏手に住居入口があり、室内は日本人が働いていたため和室になっています。萌黄の館では、使用人の住まいを特別公開することもあるようですよ。

とても品のある佇まいの萌黄の館は、その外観の爽やかさだけでなく、過去の住人の生活を垣間見れるノスタルジックな空間。ぜひ風見鶏の館とセットで訪れてみてください。